介護施設では、利用者の体調の良し悪しに大きく影響することを理由に施設内の温度管理を徹底するのが普通になっています。利用者の多くが高齢者である介護施設。加齢だけでなく、体温調節も体力低下の原因になるともいわれています。そのため、施設内の温度が少し変わっただけで体調が悪くなることは珍しくありません。また、屋外と施設内の温度があり過ぎても体には良くありません。特に通所型の介護施設の場合、施設内の温度に慣れた状態で温度差が大きい屋外へ出る形になってしまいます。体調不良のリスクを増大させる行為なので、施設内の温度管理には細心の注意を払うことが大切です。冷暖房の過度の使用を控え、屋外と施設内の温度が極端に異なる状態になるのを避けます。
また、温度管理が重視される理由として、介護施設内での集団感染を防ぐことが挙げられます。病気の原因になるウイルスのほとんどは乾燥した空気の中で活発に活動します。気温が下がると空気中の湿度が減り、その結果としてウイルスが動きやすくなります。感染リスクを減らすには、ウイルスの活動が弱くなる程度の湿度を保つ必要がありますが、加湿器を使ってもその効果は一時的なものに過ぎません。施設内全体の湿度を保つには温度管理に気を配るのがもっとも効率的な方法です。空気の乾燥を防ぐのは要介護者の体調管理の基本なので、温度管理は決して疎かにしてはいけません。介護施設で働くなら、感染リスクと湿度の関係性を正しく認識する必要があります。